秋の食べ物
中国の伝統的な健康法によると、夏にエネルギーを発散したため、秋は身体を守る時期だ。身体を冷やすサラダや生ものから、身体を温めて栄養摂取と免疫効果を高める食べ物に切り替えることが勧められている。
栄養摂取と言っても、どこから始めたらいいのか?
中国医学(TCM)は、人体が周辺の宇宙世界と繋がっているとする。つまり、異なる臓器が異なる音階、感情、物質の要素、季節に対応するということだ。すべて互いに関係している。黄帝の『黄帝内経』によれば、秋と対応する臓器は肺。では肺を強くし、味覚も大切にするような食材から紹介しよう。
梨
アジア圏では、梨は「果物の長」と呼ばれている。85%が水だが、ビタミン、カルシウム、鉄分、リンが豊富だ。
16世紀の薬学百科『本草網目』(ほんぞうこうもく)によると、梨は肺に良い。水分補給になり、身体を冷やすことで体内の熱の均衡を調整する。秋の食べ物としては優れているが、梨ばかり食べたら不要な冷気を体内にもたらしてしまうので、要注意。
ナツメ
秋にお勧めしたいもう一つの食べ物は? ナツメだ。
ナツメは甘くて身体に優しい。中国医学では、不眠症、脾臓の気、胃の気や血液の欠乏治療によく用いられる。
乾燥したナツメは、健康的なスナック、スープの素材、デザートに使われる。乾燥することで果糖が凝縮し、かなり甘くなる。この天然の甘さに惹かれて食べ過ぎてしまわないように要注意。
ハチミツ
現在も広く利用されている2000年以上前に遡る『神農本草経』という中国医学の書物に、ハチミツに関する最古の記録がある。その後『本草網目』には、ハチミツの5つの主な効能が記載されている。1) 体内の熱を取る。2) 臓器の健康を促進する。3) 毒素を除去する。4) 身体に潤いを与える。5) 痛みを和らげる。
現代の医療研究では、心血管疾患の緩和、免疫力・睡眠の質・消化力の向上を助けることが解明された。火傷や傷にハチミツを塗布すると、感染予防と治癒の促進となる。
ハチミツ入りのドリンクを1日1杯飲んでみてはいかがだろうか? 水気を保ち、爽快な気分になるのでは? でも、熱湯は避けた方が良い。ハチミツの栄養効果が失われてしまうからだ。
シロキクラゲ
中国人の家族と一緒に秋の食事をとる機会があったら、シロキクラゲとナツメのスープを飲むことがあるかもしれない。この二つの組み合わせは味わい深いデザートだ。
シロキクラゲは、アジア圏で数千年、食されてきた。免疫性を高め、胃・腎臓・腸に効き、消化・減量・脳の発達、皮膚の修復、不眠症改善への効果がある。
ゆり根
ゆり根は身体に優しい。香りはないが、肺に栄養を与え、咳を抑える。沈静の作用があり、不安や動揺を和らげる助けとなる。
野菜やエビの炒め物やスープによく用いられる。鶏ガラのスープにゆり根を入れると味わいがある。
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食事は健康改善に重要だが、日々の生活パターンに従って前向きな気持ちで過ごすことも大切だ。前向きな日常生活に、健康な食材を採り入れてみては?
季節外れにこの記事を読まれているか、南半球にお住まいのかたは、ジャレド・マドセンの「古代人の生活へタイムスリップ」をお読みください。
林育文(リン・ユイウェン)
寄稿
Contributing writer