蘭花掌
スーパーヒーローのウルヴァリン(X-MENに登場する)は格納式の爪を出し、スパイダーマンは蜘蛛の巣を手首から放つ。アイアンマンは掌にリパルサー光線を装備している。そして、神韻芸術団の女性ダンサーには「蘭花掌」(蘭の花の手)がある。
最初のレッスン
初めてのダンススタジオでのレッスンは、未だに脳裏に焼き付いている。木製のバーが放つ松のような香り。趣のある古い窓からは、夏は日差し、冬はちらつく雪が見え、外に行きたい衝動にかられる。そして床から天井まである巨大な鏡。未熟で不器用だった自分を、懐疑的に見つめたものだった。
世間知らずで不安定な私には、その全く新しい世界がどのようなものであるか予想もつかなかった。しかし、好奇心が自分の中のためらいを吹き消してくれた。五千年にわたる素晴らしい物語、伝説、歴史、文学、芸術、つまりあらゆる知識の追求へと、足を踏み入れたのだ。(もちろん食文化も忘れてはいない)
実技に入る前の最初のレッスンは、「女性の優雅さの定義」だった。中国の人々は長年にわたり、蘭の花をエレガンスの象徴としてきた。納得がいく。
この高貴な蘭は中国の峡谷の奥深くに生息する。根を下ろしたところはどこでも、繊細でかぐわしい花の美しさが広がり、人々に喜びをもたらす。幾世代にもわたりこの上品な蘭は慈しまれ、人の目を楽しませてきた。賛嘆の画筆も多くみられる。孔子も蘭に魅せられた一人だ。
仙女が踊るときの手にふさわしい花だと、うなずいてもらえると思う。
「蘭花掌」
柔軟性に富んだ中国古典舞踊は、想像できるものなら何でも表現できる。手で蘭の花をかたどることは、大した妙技ではない。
蘭花掌をやってみよう:
最初に手をリラックスさせるが、だれないように。中指と親指をまっすぐに伸ばし、互いに近づける。残りの指は側面から中指に向かって伸ばすが、横並びしないようにする。これで蘭の花びらの層ができる。軽く力を入れて指を伸ばすと、生き生きした美しい花になる。
踊っている最中も手はこのままにするが、こわばらせてはいけない。花も生きているのだから、呼吸をしたりダンスをしたりするということを忘れてはならない。
いつも手元に
子供の頃、学校で最初に習ったのは英語のアルファベットだった。それは今も毎日使っている。同じように、ダンスで最初に習った蘭花掌も、使わない日はない。いつも一緒だ。
中国古典舞踊の身のこなし方について、これからもブログに書くつもりだ。それではまた。
ベティー・ワン
寄稿者
2014年8月21日