ハンカチを投げながらのウォークオーバー
ハンカチの舞は、毎年公演に盛り込まれている。最も人気のある演目に数えられているからだ。鮮やかな色彩と、回転したり投げられたりするハンカチの動きに人々が夢中になるからだろう。
2015年のハンカチの踊りは「花咲くハンカチの舞」だった。私は前年の「早春の訪れ」を演じた。両者ともハンカチのブーメラン投げと呼ばれる、この演目特有の目を見張る技術が披露された。
この技能は、ハンカチを特定の方法で宙に投げ、ブーメランのように自分のところに戻って来るようにすることが求められる。ダンサーにとって最もリスクが高く困難な技能だ。さらに、ハンカチをキャッチする前にウォークオーバー(前方倒立回転)をする。この動きがなければ、それほど困難ではないだろう。
迅速なウォークオーバーができ、ハンカチを投げる角度も熟練し安定していれば、二つの動作の組み合わせは不可能ではない。しかし、実際の舞台では、オーケストラの生演奏、照明、速い心拍、汗にまみれた手が現実だ。ハンカチを投げる角度がわずかに狂えば、悲惨な結果が待っている。
二つの技能の基本
ウォークオーバーから説明しよう。ここでは「何かの上を歩く」とか「打ち負かす」という意味はない。基本的に、床を蹴って逆立ちになりながら前後に開脚し、体をブリッジの状態に反らせて片方の足を床につけ、起き上がりながらもう片方の足を床につける動作だ。180度の開脚とブリッジ状態に体を反らすことができさえすれば、特に難しい技ではない。
ハンカチのブーメラン投げでは、数え切れないほど頻繁に舞台の裏方が手を休めて我々の練習を見つめ、びっくりとした表情で隣の同僚に「おまえ、やってみたいだろう」みたいなことを口にしていた。
投げる角度で全てが決まる。野球のピッチャーがカーブを投球するときに、どの瞬間にボールが手から離れるかで、ストライクになるかボールに終わるかが決まるのと同じだ。ハンカチが手から離れる瞬間に、ハンカチが自分に戻ってくるか地面に落ちるかが決まる。
ハンカチは手から離れたら一直線にかなりの傾斜で上昇する必要がある。こうすることでブーメラン効果が得られるのだ。ハンカチを投げ、ウォークオーバーをするため、ハンカチがどこにいったかを確認することはできない。戻ってくることを信じて回転し、体を起こしたときにハンカチをキャッチするのだ。
できるようになるまで何度練習するのだろうと思う方もいるだろう。2010年に舞台に立つ前にうまくキャッチできた回数は1000回くらい。キャッチできなかった数百回を除いてだ。この技能を舞台で披露するダンサーのほとんどは、舞台での数百回を含めて5000回以上のブーメラン・キャッチを積み重ねてきた。
家では真似をしないこと。どうしてもやりたかったら、裏庭で側転をしながら、ハンカチの代わりにボールかフリスビーか実際のブーメランを使って試すこともできる。
他に知りたい内容がありましたらブログにしたいのでご連絡ください。それでは次回まで。
シンディ
シンディ・リュウ(劉心怡)
プリンシパル・ダンサー
2015年6月1日