神韻の衣装づくり
神韻公演を観た後、誰もが忘れられないのが衣装だろう。「色使いが素晴らしいわ。そしてドレスも。あの絹の…」のように、今まで数えきれない方々が公演後に感想を述べてくれた。そこで皆さんを舞台裏へお連れし、このあでやかな衣装の制作現場を体験していただこうと思う。
一度の神韻公演で披露される衣装は400着以上もある。スケッチから裁断、縫製まで、およそ18,976.5時間かかっている。もちろん全てが手づくりで、手縫いの部分が多い。
研究とデザインの時間を除き、一着の衣装をつくるのには8~15時間かかる。衣装がダンス・テストに合格すればのことで、たいていさらに4~8時間をかけて細かい調整をする。
昨日、今年の公演で着る衣装の4回目の仮縫いがあった。仮縫いはどうも好きになれない。6人もの女性に取り囲まれて、あちらこちらを針やピンでつつかれるのは居心地が悪いものだ。だがそれが済むと、衣装は見事にフィットする
私が特に好きなのは細部の装飾なのだが、ほとんどの観客席から詳しくは見えないだろう。たいていの人は気づかないが、何千ものスパンコールやキラキラ輝くビーズがひとつずつ縫い込まれており、頭飾りの後ろ側にも手の込んだ装飾がほどこされている。
その上、独自にデザインされた衣装を身にまとうのはワクワクする。これらの衣装は遠い昔、遥か遠い場所、または天上で人々が着ていた服装の様式を忠実に再現しているが、同時に全く新しく、誰も見たことのないものでもある。
これらの衣装はどのようにデザインされるのだろうか? 神韻の衣装は、中国の伝統と多様な民族衣装 にもとづき、それぞれの踊りの時代や場所から特定される。長年にわたる私のお気に入りは唐王朝の正服。大きな袖や流れるような長いスカート、絹のベルトが特徴だ。もしシンデレラが中国人だったら、このドレスを着るだろう。これを着たら誰でも優雅な気分になれる。
ここまでは動かないで立っている場合のことで、ドレスを着て踊るのは別問題だ。初めて衣装を着けてリハーサルをするときには、いつも予想外のことが起こる。舞台が実験室に変わるのだ。ここで初めて、小道具・衣装・頭飾り・40人のダンサー・化学物質X(つまり心配)が混ぜ合わされる。頭飾りにからまった袖(自分の袖とは限らない)をほどきながら優雅に見せたり、目にあたるような長いぶらぶらしたイヤリングを付けて 回転 するのは大変だ。
でも、心配はいらない。ツアーに旅立つ頃には全ての調整が終わっている。4カ月間も 衣装を着けて リハーサルしたおかげで、公演は完璧になる。実際、先週のリハーサルで、絹の長いリボンに問題があるとわかった。長さと重さのバランスのせいで、もつれやすく何人かに 絡みついて しまったのだ。次の日には調整に出したので、本番で披露するときには絡みつく心配はないだろう。
シンディ・リュウ(劉心怡)
プリンシパル・ダンサー
2013年11月16日