満州の淑女たちの礼儀作法
満州族の宮廷の淑女たちが、高下駄の靴で歩き、回転し、跳躍する神韻の演目をご覧になった方もいらっしゃることでしょう。満州の淑女の身なりの特徴は、花盆靴(馬蹄靴とも呼ばれます)に止まりません。
服装や礼儀作法に至るまで、清王朝 (1644-1911)の満洲族の淑女たちには、独自の習慣やセンスがありました。そこで、数世紀前の清朝にタイムスリップして、6つの気をつけるべきことをご紹介します。
1. 耳飾り
清王朝は満州族が支配していました。漢民族とは異なる民族です。突然、当時の紫禁城にタイムスリップしたら、女性の耳を見てください。両耳にいくつピアスをしているかで満州族か漢族かを見分けることができいます。
満洲族は女の子が生まれたらすぐにピアスを三つ開けました。清王朝では法律で定められていました。両方の耳に三つのピアスがあれば、満洲族の女性なのです。
あまりあからさまに耳を覗き込まないでください。当時の淑女たちにとって耳はとてもプライベートなものでした。
2.髪型
満州の淑女たちも、当時のおしゃれな女性たちの例に漏れず、髪はアップにしていました。頭の上で髪を巻いていましたが、やがて、長い髪を巻きつけるフレームが用いられるようになり、満州族特有の髪型に発展しました。
この「髪結のためのフレーム」は、鉄糸や竹ひごで作られ、鳥や花の刺繍が施されていました。頭に本を載せて歩くようなものでしたが、この骨組みは髪に縛られていました。
髪をアップにすると首の動きが制限されるため、女性は体をまっすぐに保つ必要がありました。そのため、この派手なフレームは、見栄えや髪をまとめるだけでなく、姿勢の矯正にも役立っていました。
このような髪型は、日常生活には差し障りますよね。ほとんどの女性は、結婚式の日だけこの髪飾りをつけていました。一方、床掃除や洗濯をほとんどしない貴族は、神韻の『満州族の踊り』に見られる「格格」と呼ばれる姫君たちのように、毎日このような髪型でした。
3.結婚
満洲族の花婿が、花嫁の椅子かごに矢を放ったとしても、(通常の場合は)ご心配なく。花嫁を脅かしているのではなく、悪霊を追い払っているのです。満洲族の伝統的な結婚の儀式です。慣習として、結納品に弓、矢、鎧が含まれました。中国で通常見られる絹や財などの結納品とは大いに異なります。
4.弓術と乗馬
弓術と乗馬は、満州族のアイデンティティに欠かせないものでした。2021-22年の神韻の舞台には、万里の長城の北に住んでいた女真族(満州族の前身)に焦点を当てた演目がありました。勢いのある演目『女真族の男たち(Men of the Jurchen)』では、弓術や馬術の腕前が表現されていました。戦場で通用する技量でした。
満州族が中国の中心部に入り、草原を離れても、乗馬と弓道を忘れることはありませんでした。満州族の子供たちは、王女も含めて皆、乗馬と弓術を習いました。
当時の書物によると、満州族の女性は乗馬と弓術を習い、その力量は優れていました。当時の小説や物語では、弓と乗馬ができることは、完璧な満州族の少女に望まれる技能でした。
5.家族
典型的な満州族の家庭では、年長者が最高位で、最も尊敬される存在でした。そして予想外にも、次に重要な者は両親ではなく、未婚の娘でした。
未婚の娘は、家畜に餌をやる必要も、皿洗いをする必要もありません。付き添いもなく街をぶらぶら歩いていました。当時としては、そして漢族の風習と比較しても、驚くほど自由でした。
しかし、一旦結婚すると、結婚した家に奉仕することが当然とされます。子供ができて初めて、朝から晩まで家族に仕えるのではなく、人に仕えてもらえるようになるのです。
6. 挨拶
服装に気を遣い、アスレチックな満洲族の特徴は、それだけに止まりません。礼儀作法や冠婚葬祭にとても厳しいのです。
すべては年長者を敬うことから始まります。平民であろうと皇帝であろうと、すべての満州族は年長者に、早朝の明るい挨拶と夜の「おやすみなさい」の挨拶を欠かしません。
3日ごとに小礼、5日ごとに大礼が行われました。意外なことに、大礼の挨拶はハグでした。この5日間、年長者の方を抱きしめましたか?
満州族の間では、親しい友人や久しぶりに会った家族にハグしたり、来客にハグしたり、遠方からの使者にハグしたりします。もちろん、正しくハグしなければなりません。若い人は左手を相手の腰に、右手を相手の背中の真ん中に当てて、年長者を抱きしめます。年長者は、両手を年少者の背中の真ん中に置いて、ハグを返します。
ですから、今度17世紀にタイムスリップしてしまったり、神韻公演に行ったときには、大きなイヤリング、手の込んだ髪飾り、可憐な花盆靴を履いて完璧な姿勢で歩く満洲族の様子を注意深くご覧ください。ハグはあまり見かけないかもしれませんが、過ぎ去った時代の礼儀作法や凛とした空気は、私たちも見習いたいものです。