アーティスト・スポットライト：エルシー・シュー（施逸謙）

エルシー・シュー（施逸謙）

出身地：台湾

神韻入団： 2013年

「アーティストとしてのダンサーの最高水準とは、内なる感情を体現することだと思います。難しい技法や巧みな動作は必ずしも必要ではありません。熟練したダンサーは、単なる回転やステップだけで、強い情感を引き出します。経験と練習の積み重ねだけが生み出せる技です。さらに重要なことは、徳があることです。芸術はメッセージを広く伝える媒体でもあるので、最も純粋で格調高いメッセージを伝えるために、ダンサーは自己の振る舞いに気を配る必要があります」

ご自分を三つの言葉で表現してください。
落ち着き、ユーモラス、積極的。

神韻芸術団に入団しようと思ったきっかけは？
神韻の公演を鑑賞して、感動で息を呑みました。私も一員になりたいと思いました。

ご自身について、他の人が意外に思うようなことはありますか？
高所恐怖症なんです。少しでも高いところに行くと、足がすくんでしまいます。他の人からは、"あんなに飛んだり跳ねたりするのが得意なのに、どうして高いところが怖いの？"と笑われています。

舞台で公演することの醍醐味は何ですか？
ダンスには言葉はありません。動作だけです。自分の身体を使って観客とのコミュニケーションをはかります。私たちのパフォーマンスに対して、笑ったり、泣いたり、歓声をあげたりされる観客の方々の反応を肌で感じることは、口では表せないほどのモチベーションとなります。

ツアー中に体験した思わぬ喜びは？
思い出に残る瞬間がたくさんあります。例えば、ニュージーランドでは、フェリーでワイヘキ島に行き、ジップラインやカヤックに挑戦しました。また、ビーチでのバーベキュー、海で泳いだりしたひとときも楽しかったです。

中国古典舞踊と他の舞踊との違いは何でしょうか？
中国古典舞踊は、包括的で、表現力が豊かです。壮大で荘厳でありながら、ひとつひとつの動作は非常に複雑で緻密です。「身帶手（身体で手を動かす）」「胯帶腿（腰で脚を動かす）」ことで四肢を伸ばし、動作の範囲を最大限に拡張します。同時に細かい部分もおろそかにできません。例えば、中国古典舞踊の代表的な技法である「圓場歩」や「蘭花手」は、足首の動きや指の位置が精確に定められた精巧な技です。

また、中国古典舞踊は、動作、技法、表情などを通じて、人物像や情感を幅広く表現できます。特殊な感情や複雑な筋書きでも、的確に表わします。

ツアー必携の３つのアイテムは？
日記帳、タオル、iPod nano。

体調を万全に保つ秘訣は？
若いころは、自分の体を大切にしようとはあまり思っていなかったんです。宙返りの練習では、ただ芝生に転ぶことを繰り返していました。今は自分の体に気を配るようになりました。激しい運動をする前には必ずウォーミングアップをします。たまにケガをすることもありますが、そのときは瞑想をすると楽になります。
 
これまで演じた中で、最も難しかった役は？
王昭君です。実生活で経験したことのない複雑な感情を表現しなければなりませんでした。ストーリーに沿った短い踊りの中で、純朴な宮廷の乙女が、遊牧民の強力な支配者の妻へと変容する様子を表わすことが求められました。短い時間で、王昭君の内面の変化や感情の切り替えを表現することは容易ではありませんでした。
 
好きな食べ物は？
タピオカティー、台湾料理、パスタ、リゾット...挙げればきりがないですね。

人生での成功をどのように定義しますか？
成功とは、人から賞賛されたり、仕事で目覚しい成果を上げることとは限りません。どれほど不服で最悪の状態でも、勇気を振り絞って前進し、困難を克服したときが、成功だと思います。

ご自身について教えてください。どのような経緯を経て今のあなたがあるのでしょうか？
入団当初、自分の技法に満足していました。しかし、個人的な指導を受け、舞踊への理解が深まるにつれ、真の芸術とは単なる技法ではないことに気付かされました。中国古典舞踊の技法は、繊細で美しい内面の感情を表現するためのツールなのです。熟練ダンサーたちを観察し、彼らと話し合い、舞踊のビデオを分析し、伝統的な中国の文化と歴史に関する造詣を深めることで、中国古典舞踊の内に秘められた情感をより深く把握して表現できるようになりました。道は険しいですが、漢詩に「一番寒骨に徹せずんば、爭か得ん梅花の鼻を撲って香しきことを（不經一番寒徹骨 怎得梅花撲鼻香）」とあるように、骨を刺すような寒さを経なければ、美しい梅の香りは生まれません。

2022年の公演シーズンは7月まで延長されました。公演日程の詳細はShenYun.com/ticketsへ。

全体のビデオ（2分17秒）はこちらへ