清朝の踊り
清は1644年から1911年にかけての中国最後の王朝だ。満州族の統治で康熙帝と乾隆帝が最盛期を創出。経済、軍事、文化の面で功績を残し、中華に長期的な安定と富をもたらした。
私のお気に入りの時代でもある。
清朝の歴史ドラマを見るのが好きだった。優雅な宮廷の淑女たちの身を包むエレガントな衣装や手の込んだ髪飾りに感嘆していた。中央が10センチ以上高くなっている花盆靴を履き、美しいサテンの旗袍(チーパオ)で身を包みたかった。神韻に入団すればこの願いが叶うとは、当時夢にも思っていなかった。
神韻芸術団に6シーズン参加して、「満州族の踊り」と「満州の高貴な女性たち」などいくつかの清朝の踊りをこなした。花盆靴を見たときは興奮してしまった。夢が叶ったのだ!
しかし、履きこなすことは容易ではなかった。これで踊るなんて…。幅狭の平均台でバランスをとるようなもので、リハーサルの後、平坦な地に足をつけてホッとしていた。しかし、「継続は力なり」。この古代の10センチヒールで、皆優雅に踊れるようになった。
今シーズンで私が心から気に入っている踊りは「清の衛兵」。初めて見たとき、衣装も紫禁城の背景もなかったが、その場で心を奪われてしまった。音を立てて開く扇、これに合わせる独特の打楽器の音に引き込まれた。宮廷の衛兵たちの勇壮な精神が踊りに反映されていた。観客のお気に入りになるだろうと確信した。
オーストラリアを回るのはこれからだが、両親は「観客の声」を読んで、もう演目名を覚えてしまった。最近母と話したとき、演目名を暗唱しはじめた。「清の衛兵」 と母が言ったとき、「それ私のお気に入り」 と口をはさんだ。「私も好き」 と母は答えた。「でもまだ見てないでしょう」 と困惑した私に、「見てないけれど、名前がいいから、もう好きになっちゃった」 という返事がきた。
実際に見ても、期待がはずれることはないだろう。この踊りや他の演目の鑑賞のために、清朝のファンになる必要は全くない。中国の文化と踊りは皆が楽しむためのものだ。
ヘレン・シア
ダンサー
2012年2月29日