中国式旧正月の祝い方
日本とはちょっと違ったお年玉の風習や、爆竹でのお祝い、そして縁起をかついだ魚の食べ方とは
15日間にわたる旧正月の期間は、中国人にとって最も長いだけでなく、最も大切な祝日です。 家をきれいにし、新しい服を着て、新たな始まりを祝います。旧暦に基づくため、1月になったり2月になったりし、年によって日付が異なります。
2014年の旧正月は1月31日に始まりました。神々や先祖を敬い、独特なしきたりに従う時期でもあります。中国式の旧正月の祝い方をご紹介しましょう。なるほど、日本のお正月のしきたりはここから来たのかという発見もあるでしょう。
しきたり1:大掃除をしておせちを作る
お正月は全てのことが新たに始まる時。誰もが清々しい気持ちでスタートしたいものです。そこで、お正月の前の9日間は、家中隅々まで大掃除をします。この年末の大掃除を決して軽く見てはいけません。なぜなら、箒はほこりだけでなく不幸や悪運も家から掃き出すからです。ここで大事なポイントは、必ず部屋の隅から中央へと掃き、裏口から悪いものを捨てることです。元旦になると、新たにやってくる幸運を間違って掃き出してしまわないために、箒やちりとりを決して触ってはいけないのです。
大掃除が終わると家族全員が新しい服を身に着け、たくさんの料理が並ぶ食卓を囲んで賑やかに団欒し、年を越します。ほとんどの料理はお正月の前に準備したものです。 包丁で幸運を切ってしまわないように、お正月には包丁を使いません。
しきたり2: 爆竹を鳴らす
古代の伝説によると、何千年も前、「年(ニエン)」と呼ばれる恐ろしい怪物が大晦日にやってきて、逃げ後れた村人を捕まえたり食べたりしていました。ある年、大晦日に一人の賢い和尚さんがやってきました。怪物の「年」が現れると、和尚さんは爆竹に火を付けて、その煙と音で「年」を怖がらせて追い払いました。村人はこの効果的な魔除け方法を恒例の行事とし、「年」は二度と現れなくなりました。
以来、「年」という言葉は時間の意味を持つようになりました。年越しを意味する「過年」という言葉には、悪運の「年」を「やり過ごし」、新たに始めるという意味が込められています。
伝統的な中国の爆竹は、火薬が詰め込まれたたくさんの小さな赤い筒状のものを導火線で繋ぎ、長い鞭(むち)や縄のような形にしたものです。その爆音が鞭を鳴らすときの音に似ているため、中国語では「鞭炮」と言います。運気上昇を願って空に向けて高く打ち上げる花火と違い、爆竹は街の中で点火され、騒々しい音、煙幕、真っ赤な紙吹雪、火花と閃光を次々と作り出すように演出されています。これらは全て怪物「年」が嫌うもので、悪運を追い払う手だてなのです。
しきたり3:お年玉を用意する
結婚している方、お孫さんがいる方はお年玉の用意をします。旧正月の期間は、既婚者や祖父母がお年玉を小さな赤い袋に入れて独身者(大抵は子供)に手渡します。お年玉は中国語では「圧歳銭」と呼ばれます。「歳」と「祟」は両方とも「スイ」と発音されるため、お年玉が子供を祟り(たたり)から守り、一年を平穏無事に過ごすことができると信じられています。魔除け効果を十分発揮させるためには、もらったお年玉をすぐに取り出さず、枕の下に入れて7日間寝かせてからお金を取り出すようにと勧められています。
お年玉の金額は偶数額にするのが決まりです。ユダヤ人が伝統的に18の倍数を好むのに対して、中国人は88ドルまたは88,888ドルのように数字の8を好みます。なぜ8が良いのでしょうか。実は、8の発音は、特に広東語の場合「発(ファ)」にとても似ており、繁栄を意味する「発展」や金儲けを意味する「発財」を連想させるので、縁起担ぎとして好まれるからです。決して奇数額のお年玉をあげてはいけません。お葬式の金額になってしまうからです。
しきたり4:怒らないで穏やかに過ごす
お正月の振る舞いは一年の全てに影響を及ぼすと言われています。そのため、お正月の2週間は、なるべく怒らず穏やかに過ごすことが賢明です。罵ったり、不吉な言葉を使ったり、泣きわめいたりするようなことを慎み、子どもを叱ることも控えましょう(子ども達もおとなしく過ごすように心がければ、叱られることもなくなるでしょう)。しっかりした蓄財の基盤を築くために、元旦にお金の貸し借りはしません。この時期に借金を返してほしければ、2、3日待った方がよいでしょう(寝かせたお年玉袋を開ける頃が適切かもしれません)。
しきたり5:食卓の魚をひっくり返してはいけない
日本の年越しそばとは違い、大晦日の夕食は、家族の再会を祝うご馳走の宴です。地域によって料理の内容は違いますが、魚はどこででも好まれているようです。中国語では「魚」は「ユイ」と発音され、「余り」という意味の「余(ユイ)」と同じため、縁起が良いとされているからです。新年に「年々有余(=毎年お金に余りが出てゆとりのある生活が送れますように)」と言って祝いますが、「年々有魚(毎年魚が食べられますように)」とも受け取ることができます。
中国料理では、調理された魚が丸ごと(頭も骨も目玉も付いたまま)食卓に運ばれ、片面から食べ始めます。片面を食べ終わったら背骨をきれいに取り除いて、残りの片面を食べます。「余」の逆の意味が「不足」なので、「魚」を裏返して反対側を食べることは縁起が悪いとされています。
旧正月に好まれる食べ物
餃子:特に小麦を主食にする中国北方地域でよく見られます。中国の古代貨幣の「元寶(げんぽう)」を象ったもので、中には幸運のシンボルとなるものを入れます。
みかん:中国語の簡体字では、みかんは木へんに「吉」の「桔(ジュイ)」。発音も「吉(ジー)」に近いので縁起ものに数えられます。
メロンとヒマワリの種:子孫繁栄の象徴です。
おもち:中国語では「年糕(ニエンガオ)」と書き、東部地域でよく食べられています。「糕(ガオ)」は「高(ガオ)」と発音が同じことから、運気上昇の意味が込められます。
旧正月は、家族の再会を祝って団欒し、新たな一年への希望を抱く時です。お母さん、おばあちゃん、息子、いとこなどに電話をかけて、「新年快楽(明けましておめでとう)!」と旧正月を祝いませんか?
皆様が「発」「余」「吉」に満ちた健康で幸せな一年を過ごされますよう、神韻芸術団の団員一同、心からお祈り申し上げます。