神韻交響楽団の作曲家・高原にインタビュー
コンサートツアーが始まるまでわずか一カ月。10月にボストンからマイアミにかけて(トロント経由)の演奏ツアーが予定されている神韻交響楽団について、作曲家の高原(ガオ・ユェン)に話を聞きました。
多くの人にとって夏の終わりは、バーベキューや浜辺での最後のひとときを楽しむ時期です。でも、神韻の音楽家は来シーズンの準備に追われています。四六時中、リハーサルの音が各スタジオから流れてきます。2015年の神韻公演の準備に加え、交響楽団の秋の演奏ツアーのためにオリジナル曲に磨きをかけているところです。
そんな中、最も多忙な人物に数えられる作曲家の高原に話を聞きました。
問:神韻交響楽団の運営についてお話しいただけますか。
高:神韻公演ではステージの中心は舞踊で、音楽は伴奏に過ぎません。演奏ツアーでは、神韻の各オーケストラを合わせて構成されたフルオーケストラの演奏が脚光を浴びます。壮麗な音楽による最高の体験を味わっていただくために、力を注ぎます。
神韻のオリジナル曲は、ダンスの演目で人気のあった曲から選ばれ、交響楽団用に編曲されました。これらの曲の旋律は、時代を経て継承された古代の民間・民族音楽です。
オーケストラの中央に位置する中国の楽器は、フルオーケストラをバックグラウンドとして、中核となる旋律を奏でます。壮麗な西洋の交響楽団に、中国の伝統楽器が加わり、独自の音を生み出すのです。違和感のない融合をはかることが作曲のカギです。
中国五千年の文化と音楽を表現するために、西洋のオーケストラを組み入れることは、 これまでになかった斬新な発想です。中国の異なる王朝や民族を幅広く探求してきています。ですから、多文化が息づく舞台を体験していただけるのです。
問:中国の音楽史について簡単にご説明いただけますか。
高:発掘された古代楽器から、中国の音楽は9千年以上前に遡ることができます。時代を経るにつれ、民間音楽、文人音楽、宗教音楽、宮廷音楽の4つのジャンルに分かれるようになります。
漢の時代(紀元前206年-紀元220年)、朝廷は「楽府(がふ)」と呼ばれる機関を設置しました。音楽教育と古代の民間音楽や詩歌の収集を専門としていました。その後、西アジアとの文化交流は、漢に新たな楽器をもたらすことになりました。こうして中国の音楽はさらに豊かなものとなったのです。
その後、唐の時代、音楽の才能に恵まれた玄宗皇帝(在位712-756年)が、『梨園』音楽学院を創設し、個人的に子弟を指導しました。プロの音楽家を輩出することで、中国音楽の発展に多大に貢献することとなりました。
問:音楽には治癒能力があるという古代の発想が今、新たに認識されています。この発想はどこから来ているのでしょうか。中国の伝統音楽とどのような関係があるのでしょうか。
高:私たちの祖先は、音楽は人の精神性を調和させる能力があると信じていました。古代中国では、初期の音楽の目的のひとつは病気治療にありました。実際、「薬」という漢字は音楽の「楽」から成り立っています。
黄帝(紀元前2698年-紀元前2598年)の時代、人類は五音階と五行、五臓、五官の関連を見いだしました。孔子の時代の学者は、音楽の平静の特性を、身を修め心性を養うことに役立たせました。
今日、科学の研究によって、血圧の低下、不安解消、集中力の増強、心拍の安定など、多くの音楽の治療効果が証明されています。
問:中国の楽器と西洋の楽器を同時に使うことが、神韻の音楽の最大の特徴として挙げられます。交響楽団の演奏では、どのような中国の楽器がステージに登場しますか。
高:弓を使う楽器や弦を弾(はじ)いて奏する楽器、そして多くの打楽器があります。
二胡は中国のバイオリンとも呼ばれ、弓を使う二本弦の楽器です。二本しか弦がないにもかかわらず、最も奥深く、最も憂いを帯びた音色を奏します。
弦を弾いて音を出す琵琶は、宮廷で好まれた楽器でした。
打楽器は、中国式シンバル、太鼓、碰鈴(ぺんりん)、磬(けい)、銅鑼(どら)など様々です。
これらの歴史的な楽器は数千年にわたり、中国の音楽に欠かせない役割を果たしてきました。中国の伝統文化、習慣、精神性を代表するものとも言えましょう。
問:このような音楽を創作する過程で、作曲家と奏者が直面する課題は何でしょうか。
高:曲目は基本的に舞踊の伴奏として創作されていますので、作曲にあたって、振付とうまく融合することが求められます。振付師が心の中で描く構想を具現化するよう最善を尽くします。音楽が舞踊の一つひとつの動きに完璧に応えるまで、作曲の作業は終わりません。リハーサルまでかかることもあります。演奏ツアー用には、すべてのイメージが音楽のみを通して表現できるようにするため、編曲する必要があります。
問:コンサートで観客が得られるものは何でしょうか。
高:観客の皆様が啓発されることを希望します。そして、美しい旋律、演奏のエネルギー、中国の古典文化、古典音楽の新たな発展から何かを感じていただければと思います。
* * *
神韻交響楽団は、西洋のクラシックの名曲も演奏します。また、ベルカント唱法で受賞した声楽家による独唱を、オーケストラの伴奏付きでお届けします。
公演日程、チケット購入の詳細、音楽の試聴などはこちらをクリック