旧暦のネズミ年の始まり!
旧暦の正月がまもなく始まろうとしている。今年の干支はネズミ!
なぜ干支の初めにネズミが来ているのか、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれない。その前に中国の民話についてご紹介しよう。
時の始まりに遡る話だ。人々には時間を測る術もなかった。いつ生まれ、何歳なのかも知らなかった。この問題を解決するため、玉皇大帝は12種類の動物をそれぞれの年に割り当てることにした。しかし、どの動物を選んだらよいものか?
玉皇大帝は、競争で決めることにした。最初にゴールに着いた12の動物を干支に加えると玉帝が発表した。この話を聞いて、全ての動物たちは、勇んでこの長いレースに立ち向かう準備を始めた。
せわしなく準備する小動物の中に猫とネズミがいた。当時は仲が良くいつも一緒だった。レースに遅れないように眠ってしまったら互いを起こし合うように約束を交わしていた。
レースの始まりの日、ニワトリが皆を招集する前に、猫もネズミも目を覚まし、音を立てずに一緒にゴールを目指して誰よりも早く出発した。
「牛さん! 川を渡らせてくれないかな?」とネズミは叫んだ。
競争であるにもかかわらず、親切な牛は断ることはせず「ワシの背中に飛び乗って、しっかり捕まるんじゃ」と快く引き受けてくれた。
皆一緒に、急流を渡り始めた。猫は早朝からの旅の疲れから、丸くなって眠ってしまう。一方、ネズミは一番乗りになることしか頭にはなかった。一緒に向こう岸に着いたら、牛の足は遅いが猫は…
ネズミはイビキをかいている友を見て、小さな前足を素早く動かし、猫を川に突き落としてしまう。そして牛の耳のほうに進んだ。「なにか聞こえたのかい?」と牛は尋ねたが「なんにも聞こえないよ、牛さん。直進だ! ゴールは目前だ! 急いで!」とネズミは答えた。ネズミの画策にも気づかず、牛は従順に前に進む。岸に着いたとたん、ネズミは牛の背中から飛び降り、ゴールに一番乗り。牛はすぐその後にゴール入りした。
そのすぐあとに、虎、ウサギ、龍と続く。6位に入るはずの馬は、蛇におののいたため、蛇の後となった。そして、丸太に乗って一緒に川を渡った羊、猿、鶏が続く。その後は、犬。もっと早く到着できたが、水遊びに興じてしまった。そして最後がイノシシ。すっかり疲れ果てての到着だった。
こうして、ネズミから始まりイノシシで終わる干支の順番を玉皇大帝が発表することとなった。この順番は繰り返される。十二支の順番が決まって間もなく、猫が岸から上がってきて、息も切れ切れに尋ねた。「すみません。遅れました。私の順番は?」
玉皇大帝は笑って「13番ですよ」と答えた。
これを聞いた猫は、毛を全て逆立て、目をカッと見開き、ネズミに飛びかかった。親友にこのように裏切られるとは思ってもみなかったのだ。以来、猫とネズミは敵対するようになった。
全ての関係は、友好関係でも敵対関係でも、因縁があることを示す話かもしれない。
それとも、動物がなぜこのような順番になったかを単に語る話かもしれない。それとも、過度な競争や裏切りから短期的に利得を得ても、それほどの価値はないということを説く話かもしれない。なぜなら、ネズミは数世紀、数王朝、永代…にわたって猫の恐怖に耐えているのだから。
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旧暦新年おめでとうございます。
―神韻芸術団一同
アリソン・チェン(陳超慧)
プリンシパル・ダンサー