神韻ツアーの醍醐味は?
神韻が世界中で公演し、毎年20カ国、150都市以上を訪れると言うと、「それで一番のいいところは?」とよく聞かれる。
いろいろな文化の体験? 珍味を味わうこと? スピーディーにスケジュールをこなしていく、アドベンチャーに溢れるライフスタイル? これらは皆、素晴らしいことだが、最も好きなことは、他にある。
誤解しないで欲しい。いろいろなところを訪れ、新しいものを体験することは大好きだ。時差も、過密スケジュールにさらに公演が加わることも、生活を彩る日常茶飯事の挑戦だ。しかし、世界ツアーの一番の醍醐味は、これより簡素で、見逃しやすい些細な点にある。
ぼんやりとした照明の中で、皆を見回すと、2時間半の集中した舞台の後、メークは流れ始め、にじんでいる。髪飾りを取ると、髪は絡まり、突き出している。今日の舞台の手短な反省会の後、疲れ切ったダンサー数十名は、早く着替えて就寝することしか念頭にない。
あまり美しい光景ではないが…そこには笑顔がある。
公演が実に充実していると、団員全員が共通して感じ取る。とてつもなく強いエネルギーが顕れるからだ。一人一人が自我を放棄し、周りのダンサーと協調し、美しい中国の伝統文化を観客と分かち合うために舞台に立っていることを自覚し、邪念を払い、信じがたいような大きなプロジェクトの粒子の一つとして自分を解き放したとき、何にも匹敵しがたいセンセーションに包まれる。100名のアーティストが一つになり、誠意と熱意で舞台を息づかせる。このエネルギーが観客に伝わった時、人々の心は奪われる。
また新たなツアーが始まった。シーズンのリズムに体が戻ってきた。アルゼンチンまで飛行機で南下したり、極寒のモントリオールへとバスで北上したりするかもしれない。でも、新たなツアーが幸せに満ちたものになることを確信している。どんな道を通ろうとも、忘れられない語り草や冒険に満ちたものになるだろう。
晴れの日も雨の日も、新たな発見とより大きな挑戦が待っている。このおかげで成功の充実感は、感慨ひとしおとなる。振り返ってみて、ツアーで一番辛かったことが、一番良かったことだったと言えそうだ。
蔡心笛(ツァイ・シンディ)
プリンシパル・ダンサー
2019年1月8日