良い姿勢がもたらす5つの効用
パソコンに長時間かじりついて作業をした後、頭痛、肩凝り、猫背、背中の強い痛みといった症状に悩まされる方は多いと思う。
ダンサーなら知っているが、良い姿勢は見た目を良くするだけでなく、気分も良くしてくれる。正しい姿勢を獲得するにはかなりの訓練が必要なのだが、いったん身についてしまえば、たいていのダンサーは前かがみになることに違和感を覚えるようになる。
古代中国には次のような言葉がある。
「立つときは松のように、座るときは鐘のように、歩くときは風のように、眠るときは弓のように」(站如松、坐如鐘、行如風、臥如弓)
良い姿勢は人柄を表すだけでなく、健康を維持する秘訣でもあることを、古代の人は知っていたのだ。
良い姿勢を保つことで得られる5つのメリットについてご説明しよう。
1) 背が高く、自信があるように見える
背筋が真っすぐに最大限まで伸び、肩は後ろに引かれ、頭を高く持ち上げると、この世に恐れるものはないかのように見える。だから、ダンサーの場合、英雄や皇帝、天人を演じるときはできるだけ体を伸ばし、悲しみや邪悪さを表現するときは腰をかがめるのだ。
2) たくさんの筋肉が使われ、カロリー消費につながる!
立つにしろ座るにしろ、良い姿勢を保つには、多くの違った筋肉の連携を必要とする。胴体を直立させるため、お腹の芯が引き締まる。背中の筋肉は肩を下げ、胸を開かせる。下半身の筋肉群も体を真っすぐに保つために働いている。
姿勢を完璧に真っすぐに保つことは、数分間だけでも大変だ。多くのダンサーは、正しい姿勢で立っているだけで汗ばんでくる。
3) 呼吸が深くなる
前かがみになると、胸郭が沈み、肩が丸まるので、肺が膨らむのに必要な空間がふさがれてしまう。腰をかがめた状態で息を深く吸った後に、体を伸ばして同じことをしてみてほしい。後の方がずっと爽快な気分になれるはずだ。
おまけ:呼吸が深いと血行がよくなり全身の酸素量が増えるため、活力が高まる。
4) 消化がよくなり、背骨への負担も軽減
命に関わる臓器があばら骨につぶされるなんて、想像するだけで恐ろしい。でも、それこそが前かがみになったときに起こることだ。真っすぐに立つことで、全ての臓器が本来あるべき位置に配置され、消化器系が機能するのに十分な空間を確保できる。
背骨はバランスを維持し、体のあらゆる動きを円滑にするため、自然な状態では曲線である。この曲線が丸まったり反ったりせず、正しい形に保たれると、首と背中の痛みが軽減し、関節への不要な圧迫が緩和される。つまり、ダンスでも何でも思うように体を動かせるようになる。
5) やる気が出る
この文章を読みながら、ご自身の姿勢を直されたのではないだろうか。体を起こし、頭を持ち上げ、胸を開いてみて、どんな気分がしただろう。自信が出てきた? 今やっていることに集中できる? ストレスが和らいだ?
古代中国の哲学では、精神と物質は同一とされる。背筋を伸ばして立つなどの、外見の小さな変化が、内面の大きな変化につながることもある。
姿勢を良くする方法については、こちらの記事で神韻ダンサーによる解説をお読みいただきたい。どんな変化があったか、是非、教えて欲しい。
ステファニー・グオ
神韻世界芸術団ダンサー