旧正月、丸ごとガイド
旧正月、おめでとうございます!
旧正月は世界でも最も広域にわたる祝賀に数えられる。しかし、中国の伝統に基づくこの旧正月に関しては、あまりよく知られていない。旧正月にまつわる伝説、習慣、正月料理を探ってみよう。
旧正月の基礎知識
陰暦に基づく旧正月は、西暦では、1月末から2月半ばまで、毎年異なる日付になる。今年の旧正月は2月12日。この日がウシ年の1日目だ。
旧正月の祝いは、なんと23日間にわたる。23日間に行うべきしきたりを全てこなす人は、現代社会では見られず、ほとんどの集いは、この期間の最初と最後に行われる。
ここでは23日間のそれぞれのしきたりを見てみよう。
2月4日 小年:正月を迎える準備の始まり
2月5~10日 準備は続く…
2月11日 除夜:家族の晩餐。贈答品やお年玉の日
2月12日 初一:爆竹の日。家族と挨拶を交わし、感謝し、祝う日
2月13日 迎婿日:嫁いだ娘が夫と子供を連れて両親を訪問する日
2月14日 鼠日:民話によると、ネズミはこの日に結婚する
2月15日 羊日:中国神話によると、人類を創造した女媧が、新年の4日目に羊を創造した
2月16日 破五:市場や店舗が開く日。一部の禁忌を破ってもよい日
2月17日 馬日:女媧は新年の6日目に馬を創造した
2月18日 人日:女媧が、新年の7日目に人類を創造した
2月19日 故日節:伝説によると穀類がこの日に生まれた
2月20日 天公生:天を司る大帝として知られる玉皇大帝の誕生日
2月21日 石頭節:新年の10日目。「十」と「石」の発音が同じため、石が生まれた日とされる
2月22日 子婿日:父親が義理の息子を訪れる日
2月22~25日 元宵節の準備期間…
2月26日 元宵節:赤や色とりどりの提灯を飾る。従来の丸型だけでなく、龍の形をした提灯なども飾られる
提灯にも言い伝えがある。2千年前、最も卓越した軍師として称えられた諸葛亮(しょかつりょう)は、敵陣に包囲された際、提灯を流して、援軍を求めた。
干支
十二支の考えは、古代中国で生まれた。子(鼠)、丑(牛)、寅(虎)、卯(兎)、辰(龍)、巳(蛇、)午(馬)、未(羊)、申(猿)、酉(鶏)、戌(犬)、亥(猪)の12種類の動物から成り、毎年、この周期の順に動物が割り当てられる。それぞれの動物の特徴が、その年に生まれた人々の特性になるとも言われる。
旧正月は、この十二支の動物が交替する時期でもある。昨年はネズミ年で、今年はウシ年だ。
十二支に十干(じっかん)を合わせることで干支(えと)と呼ばれる。十干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種から成り、五行、陰陽を割当て、60年周期の暦の表示などに用いられる。人相、運勢、相性などを見る際に、占星術で利用される。
正月料理
正月料理抜きで、旧正月の祝いは語れない。中国文化の中核にあるのは家族。大晦日の家族再会の晩餐は、23日間で最も大切だ。
家庭によって料理は様々だが、来る年の繁栄を象徴する共通した料理がある。たとえば、金塊に形が似ている餃子、長寿をもたらす蕎麦、また(「魚」と「余」の発音が中国語では同じことから)富と幸運を意味する魚などだ。
他には、春巻き、餅、野菜炒め、鶏の丸焼き、そして鍋料理が定番だ。
旧正月のしきたり
旧正月には、多くのしきたりがある。そのほとんどは、伝説から来たものか、言葉を掛けたものだ。
旧正月に関する最古の伝説は、殷の時代に遡る。「年(ニエン)」と呼ばれる怪物が大晦日にやってきて、村人を脅かしていた。村人は、365日ごとに村を訪れることに気づいた。また「年」は大きな音を恐れることにも気がついた。
「年」がまた村を荒らす前に、爆竹を用意し、その煙と音で「年」を怖がらせ追い払った。こうして村が救われたことで、今日でも行われる爆竹を鳴らすしきたりとなった。
また新年には、多くの禁忌もある。新年の最初の数日間に、「死」「悲」「病」などの否定的な言葉を発すると、不運を招くとされる。また、時計をプレセントしてはいけない。「時計」と「示寂」(逝去する)の中国語の発音(shiji)が似ているからだ。また尖った物を使ったり、皿を割ることは縁起が悪いとされる(陶器を割るのはギリシャの風習のようだ)。
旧正月の飾り付けには、玄関の両脇に貼る対聯(ついれん)や、切り絵、提灯、吉祥の文字、鳳凰・龍・美しい景色・神々の姿を描いた絵画などが用いられる。
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旧正月は中国文化を凝縮したようなものとも言える。複雑で、多岐にわたり、伝統豊か。数千年かけて形作られ、洗練されてきた。
旧正月の中核にあるものは、人生での多くの恩恵に感謝し、大切な人とこの恵を分かち合うことだ。
ジョン・ペリー
司会者