ツアーのないクリスマスシーズン
もうすぐ2020年が終わるなんて信じられない。最初の半年は2020年代に入ったこと自体に慣れていなかったから、なおさらだ。でも新しい年へのカウントダウンが始まっているので、受け入れるしかない。ならばホリデーシーズンを謳歌しよう!
3月以来、全世界の方々と同じように、私たちも通常の生活を送ることが難しくなった。最初の数カ月は、中共ウイルスの影響で、舞台の上でダンスをしたり、国から国へ旅をしたりすることができなくなり、家にいなければいけないことが、奇妙に感じられた。
でも、みんな頑張っている。一週一週を、そして一月一月を乗り越えてきた。同僚のダンサーたちは、芸術団が通常の運営ができない中でも、やる気を失わずに練習に励んでいる。いつとも知れない新シーズンの発表を待ちわびながら…。
2020年は異常なことだらけだったが、私たちの生活で、1つのことが普通になった。しかし、ここで言う普通とは、私たちにとっては異常なことだ。
それは、今年はホリデーシーズンと公演シーズンの始まりが重ならないということ。2006年の創立以来初めて、神韻芸術団のメンバーはツアーをせずにホリデー期間を過ごしている。カリフォルニアまでの高速道路を延々と走るバスの中でもなく、週にいくつかの都市を巡りながらスーツケースに入るものだけで生活することもない。高速道路の休憩所やホテルのロビーでしか「ジングルベル」や「きよしこの夜」を耳にしないということもない。新しい演目を完璧にこなすためにツアーの最初の数週間、特に気を遣って集中する必要もない。クリスマスと正月は祝日ではなく、次の公演都市への移動日と考えることもない。
通常は、感謝祭の翌日に、照明技師たちが神韻本部に照明を設置したり、ツリーを飾ったりしてくれる。でも、飾り付けが終わるとすぐにドレスリハーサル、次にツアーの最終準備に入る。忙しさの合間にプレゼント交換をする。他の芸術団の友人とは来年の5月まで会うことはないから。
12月の終わりには、各芸術団はすでにいくつかの都市での公演を終えて、別の地域へ向かっているが、できる限り一緒に祝うようにしている。多くの都市では、地元の公演スポンサーや主催者が家族の時間を割いて、私たち旅芸人の世話をしてくれる。フロリダ州で一度、ビーチでバーベキューパーティーを開いてくれたこともあった。だが通常、彼らはホテルの会議室を予約して、豪華なビュッフェと食べきれないほどのパーティースナックでもてなしてくれる。その夜は、団員全員が演奏者、参加者、観客の役割を同時にこなす。オーケストラのメンバーは、短い室内楽曲やクリスマスの名曲を演奏する。額に乗せたクッキーを手を使わないで食べる競争など、面白いゲームもある。生演奏での「いす取りゲーム」は盛り上がるし、会議室には椅子がたくさんあるので欠かせない。パフォーマーによるジェスチャーゲームはいつも大盛況だ。
私が最も忘れがたいツアー中のホリデーには、もっと変わったものもある。一度、丸一日の移動の終わりにバスが故障しかけたことがあった。運転手は大きなドライブインに乗り入れた。私たちはただ待つしかなかった。太陽は沈んでいたが、南の地域で天候は穏やかだった。しばらくすると、じっとしていられないダンサーたちが駐車場を埋め尽くし、街灯の光の下で、キックや回転をし始めた。スニーカーとジーンズを履いた男子ダンサーが、「草原を駆け抜ける馬飼いたち」ならぬ、「トラックステーションを駆け抜ける馬飼たち」に成り切った。何時間も経ったが、クリスマスイブにアスファルトの上で足止めされたことに対する不満は一つもなく、みんな前向きなムードを維持したいと思っていた。でも、ようやくバスが直ってホテルによろめきながら入ったときは、クリスマスの日の夜明け前で、ベッドに入れるだけでこの上なく幸せだった。
これで、冬のホリデーを普通に過ごすことが、私たちにとっては斬新なことだということをお分かりいただけただろうか。
残念ながら、神韻公演のシーズンはまだお預けだが、それでもこのシーズンを楽しみたい。何をしていても、どこにいても、ホリデーシーズンで大切なのは、今あるすべてのもの、特に家族や友人に感謝し、今年一年を振り返り、抱負を持って新年を迎えることだ。
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神韻のスタッフ一同、皆様が喜びに満ちた安全なホリデーシーズンを過ごされますよう願っております。室内でも屋外でも、暖かくされてください。また皆様のために公演できる日を待ち遠しく思っております。
ベティー・ワン
寄稿者